中枢性疼痛・痺れや痛みを減らす方法

中枢神経系疾患により中枢性疼痛(痺れ)が生じる方々がいる。そして時に難治性となりやすい。これに対して
障害を受けた脳の特徴

1. 損傷を受けた中枢神経系の情報処理速度は遅れている

2. 損傷を受けた中枢神経系は感覚受容にたいして鈍化している

3. 感覚は変化の差が情報となる

4. 感覚と運動は切り離して考えず、一元的として捉える

以上の4つの視点から段階的感覚入力により、識別、同定を援助する関りにより中枢性疼痛(痺れ)を軽減できる       

26名の入院患者及び外来患者 •難治性で痛みや痺れを訴える者 平均年齢 65歳(42~84歳) •男性16名  女性10名

26名の痛みや痺れの度合いはFace Scaleで7.0(痛くて辛い・すごく痛くてとても辛いの間)だった

段階的感覚入力により、識別、同定を援助する関りにより26名の痺れや痛みが3.5(わずかに痛む・少し傷んで辛いの間)に軽減できた

方 法 : 段階的感覚入力により、識別、同定を援助するAssisting Identification by the step-by-step sensory input:以下 AISSI

対象者の最も痛む部位や痺れる部位に

1.極めて軽いく触れる。軽く触れた状態から徐々に圧を強めてゆく

2.20~30秒程度かけて痛みに変わるまで圧力を強める

3.痛みが誘発される強い圧をしばらく保持し

4.30秒程度かけて圧力を減らし軽い触覚まで戻す

これを1セットとして5から7セット行う

また、主に痛む部位の周囲2から3カ所にも行う

結 果 :この方法により痺れや痛みを3.5程度(半分程度)軽減できる可能性があります。また感覚障害も軽減され、痛み痺れていた部位が軽くなるなどの副次的効果も期待できます。さらに、本法を実施後、その部位を動かす練習を行うとより効果が期待できます。

この方法により難治性の中枢性疼痛が軽減されることを願います


注意すべき点

痛みを感じるまで圧を高めるが、対象者が痛みを感じる圧は異なる。対象者ごとに異なる。また同じ対象者でも1回目と2回目、3回、4回それぞれ痛みを感じる圧は異なる。多くの場合、始めより後の方が小さな圧で痛みを感じられるようになる。実施者は対象者の表情を見ながら圧を高めてゆく必要がある。

また、痛みに至らない一歩手前で圧を加えることを止められたら最良である。常に対象者の表情を見て、信頼を得ながら関わる必要がある。あまりにも不快に感じているようなら、緩めたり中断する必要がある。

根 拠

対象者26名の感覚障害軽度から重度まで、それぞれ異なっていた しかしAISSIによる圧で皆が痛みを感じることができた •中枢神経系の障害により情報処理の量と速度に制限がある対象者らに、 AISSIによる緩やかな感覚の変化と繰り返しは ボトムアップ確かな情報として中枢へ伝えられる

中枢性疼痛は実在の感覚よりもトップダンにより伝えられる感覚    知覚(中枢神経系により情報操作)された感覚と類似している

•AISSIによる末梢からの”確かな”感覚情報が中枢性疼痛の知覚認識過程を変えられる

AISSIによる緩やかな感覚の変化と繰り返しは、情報処理の量と速度に制限がある対象者予期と探索、受容する反応を促すことができる

一次感覚野への感覚入力 →内側毛帯→視床VPM→一次感覚野(S1)4層→2/3層  高い可塑:視床と一次感覚野、一次感覚野内の4層と2/3層の間、視床VPM内で高い可塑性(変化する能力)を持っている可能性がある 一次感覚野への感覚遮断の実験から→感覚入力量が遮断されると可塑性による変化が起こる

感 覚 :

感覚情報は何事かを教え、不確実なものを確実にしてくれるものであり、識 別 や同 定する過程

意識される感覚過程がある、多彩な情報を含む意識に上る感覚は極めて限られる。逆に意識に上らず利用されている感覚が多くある(フィルタリングされている)

例えば手を握ったとき手背・指背のSAⅡ型は手指の屈曲を検出し、運動感覚に貢献している。手の平からの感覚だけで無く、筋からの感覚など多彩、多様な感覚情報によって握ったと現実性を与えてくれる

そして、感覚は予期されている  経験・記憶との連合 情動反応を伴う

感覚は運動を伴う :ゲーティングGating 選択 :分配 側方抑制 連合等、脊髄レベルから運動反応に利用される、感覚と運動の一元化  12分節下行、2,3分節上行し分配される

よって、意識される、感じられる感覚過程があり、多彩な情報を含む

対象者情報 

発症より平均77日目(29-137日目)の入院患者8名 •発症より8年4ヶ月、1年3ヶ月の外来患者2名 •視床出血者5名、被殻出血者2名、脳幹出血等その他3名。平均年齢62.5歳(43-81歳)

発症後より持続した痛みや痺れを訴えていた対象者で鎮痛剤、抗うつ薬が処方されている症例もあったが、痛みや痺れ等の改善は少なかった

診断名 

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感覚障害の程度 :軽度鈍麻 6名   中等度鈍麻 11名   重度鈍麻 9名

10/26名の基本的情報

氏名年齢性別診断名発症日入院日感覚障害Br実施日部位AISSI実施日と発症日の差
A様53右脳幹出血  橋背側部 外来2007年8月2007年9月重度鈍麻2016年3月顔面・手3086
B様43右被殻出血 外来2014年7月2014年8月中等度鈍麻2015年10月457
C様72右視床出血2015年6月2015年7月中等度鈍麻2015年10月148
D様65右被殻出血2015年8月2015年10月重度鈍麻2015年10月59
E様72右視床出血  左脳梗塞2015年9月2016年1月中等度鈍麻2016年2月60
F様58左視床出血2016年5月2016年6月軽度鈍麻2016年7月61
G様79右中大脳動脈病変 小脳病変2016年6月2016年7月重度鈍麻2016年10月137
H様51クモ膜下出血   両麻痺2016年6月2016年6月重度鈍麻2016年9月左腕・腿103
I様81左視床出血2016年7月2016年7月中等度鈍麻2016年8月29
J様70右視床出血2016年9月2016年9月軽度鈍麻2016年10月21

段階的感覚入力により、識別、同定を援助する方法(AISSI)による効果

Faces Pain Scale (以下FPC)
対象者 26名FPC評価AISSI実施前FPC評価AISSI実施後
A様64
B様86
C様64
D様104
E様84
F様42
G様104
H様64
I様42
J様64
K様86
L様86
M様20
N様62
O様84
P様80
Q様86
R様102
S様64
T様64
U様84
V様40
W様82
X様102
Y様64
Z様86
平均7.03.5

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伊林 克法 KATSUNORI IBAYASHI

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